第6回(4月5日開催)
講師:音楽家 中川つよしさん

 ☆プロフィール☆
 音楽家  専門:リコーダー/古楽器演奏、音楽学研究、音楽療法

 ロンドン市立ギルドホール音楽院古楽科に留学。
 和光大学人文学部卒業。
 成城大学大学院修士課程(美学・音楽学専攻)修了。
 中世・ルネサンス・バロック音楽の専門家としてコンサート活動を展開。
 また、大学や生涯学習センターなどで音楽史の講義を担当する他、
 音楽療法の分野でも活躍する。

 現在、和光大学非常勤講師、国立精神・神経医療研究センター音楽講師。
 その他、和光大学生涯学習センターぱいでいあ、
 NHK文化センターさいたまアリーナ教室、宮地楽器音楽教室などで講師を務める。
 リコーダーのレッスンは子供から大人まで幅広く行なっている。


【クラシック音楽に興味を持ったきっかけ】
小学生の時に、父親が買ってくれたモーツァルトの交響曲40番のレコードを聴き、衝撃を受けました。
その後、さまざまなクラシック音楽を聴きあさり、名曲解説辞典などを読みました。


【リコーダーに興味を持ったきっかけ】
私立明星学園高校入学時にフルートを始めました。
しかし一年後、フランス・ブリュッヘンのリコーダー演奏を聴き、第2の衝撃を受けました。
以来、リコーダーに専念し、そのレパートリーの大半を占めるバッハ以前の音楽について勉強を始めました。
高校時代はリコーダーアンサンブルを友人たちと始め、放課後は練習三昧でした。

ちなみにリコーダーとは、古くには鳥に歌を覚えさせる道具という意味だそうです。


【喫茶店の店長】
某音楽大学を受験するも、聴音・ソルフェージュといった副科科目が災いして、日本での進学を断念しました。
それ以来「音感教育」に重点を置いた日本の音大のシステム(コンセルヴァトワール・システム)に深い懐疑を持ちます。
ちょうどその頃、吉祥寺の名曲喫茶「バロック」でアルバイトをし、3万枚ともいわれた所蔵レコードを片っ端から聴きました。
その後、父親が開店した喫茶店「らいむぎ畑」の店長を務めました。
喫茶店の店長をしながらも、音楽の勉強を続けました。
そして、大竹尚之氏に師事し、プロのリコーダー奏者としての活動を始めます。


【留学】
32歳の時に、イギリスのロンドン市立ギルドホール音楽院古楽科に留学し、フィリップ・ピケット、パメラ・トービーの両氏に師事しました。
ピケット氏の影響で、リコーダー演奏の技術・知識のみならず、ヨーロッパ文化・芸術の、より根源的な諸問題に興味を持ち始めます。


【大学・大学院】
約2年の留学の後、和光大学人文学部に入学し、西洋美術史を専攻しました。
図像学を中心に、美学、哲学など様々な学問を学びました。
その後、成城大学大学院修士課程(美学・音楽学専攻)に進学しました。

今日は図像学についてもお話して下さいました。
図像学とは絵画から意味を読み取る学問のことです。
私は、西洋音楽が伝統的に持っている「言語的性格」にも興味があります。
まだテレビやパソコンのない時代には、絵画や音楽はメディアとしての機能を担っていました。
鳴り響きの向こう側にある「意味」を読み取ることは、とても面白いです。

何枚か絵画を見ながら説明して頂きましたが、絵には様々な意味が込められていて一枚一枚がとても印象的でした。


【現在】
大学院修了後、本格的にコンサート活動、大学と生涯学習センターでの講義、音楽療法などを開始し、現在に至ります。

講義は、西洋音楽史の講義を行っていて、美術史、文化史、思想史などと関連づけて、新しい音楽鑑賞の形を模索・提言しています。
音楽療法は、精神疾患をもつ患者さんを対象とした音楽プログラムを、作業療法の一環として実践しています。

コンサート活動では、コンサート会場だけでなく銭湯でのコンサートも行っています。
銭湯だと50人くらいの方が入れるくらいの広さで丁度よく、音の響きがいいそうです。
今後もコンサートホール以外の様々な会場で、積極的にコンサートを行なっていきたいとおっしゃっていました。



【仕事を続けていく上でのポイント】
@レールの上での競争は大変!
諦めさえしなければ、どんなルートを通っても、必ず納得のいく結果が得られるはず。

A何かひとつ得意なものを見つける。
例えば語学。私の場合はリコーダーでした。

Bいろいろな事に興味を持つこと。
私の恩師、前田耕作氏(アフガニスタン文化研究所所長、和光大学名誉教授)の言葉で、
「この道一筋とは、すなわち知性の欠如だ!」とあります。
これが私の座右の銘です。
いろいろな興味は網の目のようにつながり、きっと自分を助けてくれます。

今日は丈の長さが異なる様々なリコーダーを用意して頂きました。
丈が長くなるほど音が低くなるそうです。

他にも、「イギリスのナイチンゲール」という曲の演奏を披露して下さいました。
鳥の鳴き声をイメージした曲で、とても素敵な演奏でした。

中川さんのお話を聞いて、いろいろな事に興味を持つことは大事なことだと思いました。
仕事も大事ですが、中川さんの座右の銘にあるように仕事のことだけでなく様々なことに目を向けていきたいです。

初めての生のリコーダー演奏に触れることが出来、春の鳥のさえずりを感じることができた一日となりました・・・。